Saturday, September 01, 2007

石炭価格上昇も価格統制を優先

電力料金の値上げ先送り 石炭価格上昇も価格統制を優先 中国・国家発展改革委
中国の国有5大電力会社が石炭価格の上昇を電力料金に転嫁させ、電力料金の値上げを申請している問題で、マクロ経済を所管する国家発展改革委員会は、インフレ懸念から先送りする見解を示した。7月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で5・6%に上昇、単月で過去10年の最高記録を更新し、物価統制が急務になっているためだ。中国政府は中長期的には、低めに誘導している公共料金の引き上げを検討しているが、農村対策もあって電力料金の引き上げには応じられない状況で、難しい舵取りを迫られている。(上原すみ子)  中国国電集団、中国華能集団、中国大唐電力集団、中国華電集団、中国電力投資集団の国有5大電力は、このほど国家発展改革委に対し、一部地区の電力料金の値上げを連盟で申請。新華社(電子版)によると、これに対して同委員会の曹長慶・価格司長は、「当面は観察が必要」と回答し、物価上昇の推移を見守り、当面は値上げを先送りする方針だ。  中国政府は、2005年に石炭価格が一定以上上昇した場合には、これを電力料金に転嫁できる価格連動制を導入し、これまでに2度、値上げを実施してきた経緯がある。  今年も価格が上昇していることから、中国の電気事業連合会に相当する中国電力企業聯合会が電力業界を代表して2度値上げを申請したが、当局は静観したまま。これに業を煮やした電力業界は、3回目はタッグを組んで直訴した格好だ。  中国は石炭火力発電が発電所の約7割を占めるだけに、電力会社は、コスト上昇に直結する石炭価格の上昇に目を光らせている。特に昨年から相次ぐ炭鉱事故に対する安全対策の導入や坑内作業員の入坑手当て引き上げや労災保険制度の導入などの人件費増、資源税の引き上げで価格が上昇した。  双日系の石炭情報会社のコーリンクによると、06年の国有石炭会社のコストを196元とすると、07年の山西省の石炭会社のコストは1トン当たり15~35元分増加した211~231元と試算。 この2年間で合計35~70元のコスト増を強いられているという。同社では「今後3年は年平均10%で石炭価格の値上がりが続くと見られるが、当面は値上げできる環境にはない」と分析している。  一方で、最近のインフレ率急上昇の背景には、食料品価格の高騰がある。7月の食料品は前年同月比で15・4%、中でも伝染病や飼料価格の高騰で豚肉などの精肉は45・2%も上昇している。 政府は豚肉高騰が庶民の台所を直撃するだけに、安価供給確保にも乗り出しているが、目立った効果が出ていないのが実情だ。  これに電力料金の値上げが加われば、さらなるCPIの上昇は避けられず、国民からの批判は避けられない。一方で、電力会社はコスト増といっても一様に収益をあげており、政府も危機的な状況ではないと判断している模様だ。10月の共産党大会を控え、胡錦涛政権は、物価上昇に対する国民の不満が政府批判につながるのをなんとしてでも押さえ込みたい考えだ。

フジサンケイビジネスアイから
 値上げはそうそうするものじゃないよぉ。

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